会社に雇われていたサラリーマンから個人事業主(フリーランス)になると、それまでは会社経由で加入し会社が費用を折半してくれていた健康保険や社会保険に自分で加入しなければならなくなります。
今回は、フリーランサーが加入できる社会保険についてご紹介します。
この記事の目次
フリーランスが加入可能な社会保険はどれ?
まずは基本的な保険の種類と内容についてをみていきましょう。
健康保険
健康保険には大きく分けて3種類あります。
保険料金はもちろん異なりますし、事業の収益や扶養家族の有無などで最適な選択肢は人それぞれです。
どの健康保険に加入するか、安易に決めずにしっかりと比較検討するようにしてください。
保険料は前年度の所得により変動します。
扶養家族がいる場合、家族の人数分の保険料を支払わなければなりません。
退職日までに2ヶ月以上その社会保険に継続加入していたことが条件です。
会社に雇用されていた期間は保険料を会社と折半する形で支払っていましたが、退職後に継続する場合全額自己負担となります。
扶養家族の保険料負担がないというメリットがあります。
被保険者と生計を共にしている必要があるので、一緒に暮らしている両親や配偶者に頼れる場合は使える方法です。
国民健康保険のように所得に応じた保険料の変動はありません。
文芸美術国民健康保険はどんな場合に加入するとお得なのか?
個人事業主として開業し、どの社会保険に加入しようか迷った時…
・扶養家族無し or 収入が安定しない → 国民健康保険
・扶養家族あり or 収入がある程度安定 → 任意継続保険
という判断をする場合が多いと思います。
では、もう一つの選択肢「文芸美術国民健康保険」はどんな場合に加入するとお得になるのでしょうか?
文芸美術国民健康保険とは?保険料はいくら?
国民健康保険には区市町村が運営するものと、同業種の人たちで構成される国民健康保険組合が運営するものの2種類あります。
国民健康保険組合が運営する健康保険は100以上あり、IT系フリーランスが加入できるのは「文芸美術国民健康保険」です。
文芸や美術、著作活動に従事する人とその家族が対象となっています。
保険料は、
家族1人:月額10,300円(医療分6,700円 後期高齢者支援金3,600円)
介護保険料(満40歳〜64歳までの被保険者)1人:月額4,000円
以上の通り、所得などに関係なく一律定額です。
どんな場合に文芸美術国民健康保険に加入するとお得?
扶養家族がいてある程度安定した収入がある人は任意継続保険を選ぶと思いますが、任意継続は利用できるのが最長で2年間です。
2年後は区市町村運営の国民健康保険か、組合運営の文芸美術国民健康保険へ切り替える必要があります。
目安としては、所得が300万円を超える場合は国保より文芸美術国民保険へ加入した方がメリットが大きいでしょう。
国保の場合年収が高くなるほど保険料も高くなりますが、文芸美術国民健康保険は定額なので所得が高い人ほどお得感は大きくなるということです。
国民年金
20歳から60歳未満の日本国民は国民年金への加入が義務付けられています。
会社に雇用されている間は会社が保険料の半分を払ってくれる厚生年金保険に入っていますが、個人事業主になると、国民年金への加入が必須となります。
会社を退職して独り立ちする際には厚生年金から国民年金に切り替えなければなりません。
扶養家族がいる場合、厚生年金なら家族分の負担はありませんがフリーランスが国民年金に加入すると扶養家族分の保険料も負担しなければならなくなります。
国民年金基金
上で紹介した国民年金に上乗せした額の年金を受け取りたいという場合、任意で加入する年金制度です。
国民年金基金は原則として途中解約はできません。
個人事業主(フリーランス)だと加入できない社会保険もある?
サラリーマン時代には当たり前のように加入できていた社会保険の中には、個人事業主(フリーランス)になると加入できなくなるものもあります。
雇用(失業)保険
個人事業主として開業すると、雇用される立場ではなくなり雇用保険には加入できなくなります。
また、会社を退職後フリーランスになる場合、失業保険をもらいながら働くことはできません。
労災保険
労災保険は労働者の通勤中・業務中の事故や病気などに対して保険給付を行う制度です。
労働者を雇用する事業主が保険料を支払います。
基本的に、会社に雇用されていないフリーランスは労災保険加入の対象者には含まれません。
業務内容によっては労災保険の任意加入が認められる「特別加入制度」が利用できる場合もありますが、IT系エンジニアはこれには当てはまりません。
厚生年金保険
基礎年金となる国民年金に上乗せされる年金分の保険です。
会社に雇用されているサラリーマンが対象となっていて、雇い主である会社が保険料の半分を支払います。
個人事業主(フリーランス)がリスクに備えて加入できる保険は?
労災保険や雇用保険に加入できないとなると、いざという時(怪我・病気をした時や出産・育児のために仕事を休業するときなど)フリーランスだと何も保証がもらえないの!?と、不安に感じる人もいるかもしれません。
できるだけお金を貯めて、何かあった時は貯金を切り崩して生活する・・・のではあまりにも不安定ですよね。
大丈夫です。
フリーランスとして加入できるいざという時のための保険があるので、加入を検討してみることをお勧めします。
フリーランス協会保険
フリーランスのための保険といえば、フリーランス協会が提供しているフリーランス協会保険があります。
一般会員の年会費は1万円です。
フリーランス賠償責任補償や福利厚生サービスが付いてくる他、所得保障制度(任意)、会計サービス、全国各地にあるコワーキングスペースが割引で使用できる、カウンセリング、家事代行といった特別優待特典も付いてきます。
最近はフリーランスで働く人の数も増え、働き方改革の追い風により今後一層フリーランスで活動する人は増えるのではないかと思われます。
フリーランス向けの社会保障も徐々に整備され、今後もっともっと充実するはずだと思います!
民間(任意)保険
これから充実するはず・・・と上で申しましたが、現時点ではまだまだフリーランスへの社会保障は薄い状態です。
もっと安心安全な保障体制を整えたいという人は、民間の保険を利用すると良いでしょう。
生命保険(遺族補償、生活保障、個人年金など)、損害保険(災害時の保障、車などの事故保障)、第三分野医療保険(介護保険、傷害保険、がん保険)など、お金はかかりますが任意で加入できる保険への加入を検討してみましょう。
また、ライフネット生命や損保ジャパン日本興亜など、フリーランス向けに特化した保険サービスを提供している企業もあります。
フリーランスや個人事業主が加入できる社会保険の種類や内容まとめ
フリーランスになると働き方が自由になるというメリットがある一方で、今までは会社で加入できた社会保障に自分で加入しなければならず、保険料も自腹になるというデメリットがあります。
病気、怪我、事故、災害。
誰にでも起こりうることで、いつ何があるかわかりません。
いざという時の備えはきちんとしておきたいですね。
フリーランスとして独立する際には、健康保険や年金、その他の保険についてもしっかり考えておくようにしましょう!
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